マイナンバー

2015/3/5 情報元 日本経済新聞

政府は2016年から始まる社会保障と税の共通番号(マイナンバー)制度を活用して年金制度を改善する方針だ。負担能力があるのに厚生年金保険料を国に納めていない企業を17年から迅速に割り出し、効果的な督促や強制徴収につなげる。未納者を減らし、制度の公平性を高める狙い。受給開始や保険料減免の手続きで加入者に求める書類も減らし、インターネットで簡単にできるようにする。
 マイナンバー制度は税や社会保険料の徴収を効率化し、利便性も高めるのが目的だが、年金分野の詳細な活用方法は決まっていなかった。政府は加藤勝信官房副長官を座長とする検討チームで具体策を詰め、今春にも公表する方針だ。
 特に効果が期待されるのが未納対策だ。企業が従業員分を集めて納める厚生年金の保険料は、全国の約250万の事業所のうち約80万事業所で未納がある。給与から天引きした保険料を国に納めていないなどだ。該当する従業員は保険料が未納となり、将来受け取る年金が減額されてしまうが、今はこうした「消された年金」への有効な対策を打てていない。
 政府は17年から対策に企業版マイナンバーを使う。番号による一元管理で国税庁が持つ企業の源泉徴収データを日本年金機構が共有できるようになり、従業員に給与を払っているのに厚生年金保険料を納めていない企業を簡単に割り出せる。
 これまで年金機構は雇用への配慮から強く督促できない面もあったが、負担能力があるのに保険料が未納になっている企業が分かれば強く督促できる。財産を差し押さえるなど悪質な企業から保険料を強制徴収する対応もしやすくなる。
 年金機構は昨年12月に初めて国税庁から源泉徴収データの提供を受けたが、情報を一元管理できていないので突き合わせ作業に時間がかかり、まだ終わっていない。マイナンバーができれば簡単に状況を把握できるようになる。 自営業者らが入る国民年金の未納対策にも役立てる。現在は市町村からもらう所得情報とつき合わせて、強制徴収の対象となる所得400万円以上で7カ月以上の未納者を割り出しているが、マイナンバーなら自動的に特定できる。保険料100円につき約90円かかっている未納者からの徴収コストの削減にもつながる。 年金に関する手続きも簡単にする。受給開始手続きで求めていた住民票を不要とする。マイナンバーができても配偶者がいる人は戸籍謄本の提出が必要だが、単身者は17年にネット上に開設するマイナンバーの個人ページで申請手続きができ、年金事務所に出向く必要がなくなる見通しだ。
 低所得者や学生らの保険料の減免手続きも所得証明書の添付が不要になり、ネット上で申請できるよう検討する。個人ページから税と年金保険料を一括納付できるシステムも構築する見通しだ。
 年金記録が誰のものか分からなくなる「消えた年金」の防止策も講じる。マイナンバーで複数の年金記録を特定の個人にひも付けられるようにする。現在は会社員から自営業に転じたり、結婚して名字が変わるケースでは二重に年金番号が発行されている。これが持ち主が分からない記録が生まれる原因になっていたが、新たな発生を防ぐことができる。

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